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松本素生(going under ground)

GOING UNDER GROUND、ソロ活動、フェスでのDJ活動から、アーティストへの楽曲提供まで、そのマルチな才能を音楽シーンで発揮させてきた松本素生。2020年には、サニーデイ・サービス曽我部恵一プロデュースによる「望郷東京2020」をリリース。iPhoneで収録したテイクをそのまま配信するという意欲作で、コロナ禍での「東京」に対する思いを綴った彼の、現在と過去の東京についての想いを聞いていこう。


Profile

ロックバンド「GOING UNDER GROUND」のボーカル・ギター。埼玉県桶川市出身、血液型A型。同バンドの楽曲の多くを作詞・作曲するほか、THE COLLECTORS、KinKi Kids、V6、藤井フミヤ、中村雅俊、松たか子、MEG、メロン記念日、ベイビーレイズ、amiinAなど幅広いアーティストに楽曲提供(一部作詞のみ)を行うなど、日本の音楽シーンで精力的に活動中。

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GOING UNDER GROUNDの傑作デビュー・アルバムを生んだ地で、松本素生と「変わらない音楽への気持ち」を語らう

Interview:田中 貴(サニーデイ・サービス) Text:油納将志 Photo:古溪一道

6月17日に下北沢のLIVE HAUSで行われた「BACK TO STAGE ONLINE LIVE」に出演し、そのオンライン・ライヴのキュレーターであるサニーデイ・サービスの田中 貴と共演したGOING UNDER GROUNDの松本素生。彼が原点として立ち返る場所として選んだのは、上京して初めて住んだ街である駒沢。悶々とした思いを抱きながら生活を送っていたというその時代の思い出を旧知の仲である田中が聞いていく。

駒沢で過ごした苦悶の日々…その時の思いが生んだデビュー・アルバム

田中「どうも。あらたまった感じですが(笑)」

松本「どうもどうも。そんな久しぶりな感じはしないですけど(笑)」

田中「久しぶりの感じがしないね」

松本「コンスタントにお会いしてますからね」

田中「確かに。でも、今日はあらためてインタヴューですので、よろしくお願いします。今日我々がいるのは世田谷区の駒沢。こんなおしゃれな街に思い出があるとは」

松本「そうなんですよ。初めて東京に出てきたのが二十歳頃で、1999年くらいに彼女と一緒にこのカフェのすぐ裏側のアパートに住み始めたんです」

田中「まだあるの?」

松本「もうないんですけど、そこに家賃8万円で同棲を始めたんです。まだバンドでメジャー・デビューする前、インディーではデビューしていたんですが。お金がとにかくなくて、上京する前に車の免許を取りなさいっておばあちゃんが30万円くれたんですけど、その30万円を上京するための資金にして出てきたんです」

田中「事務所には入ってたんだよね」

松本「はい。その事務所から毎月5万円くらいもらってたのかなあ。でもバイトしてなくて、マジでお金がないし、上京したばかりで友達もいない。日中は彼女が働きに出ているから、すぐ近くにある深沢図書館か駒沢公園にいるという。サイテーな生活を送ってましたね。住んでいたのは3年くらいなんですが、それだけに思い出がいっぱいですね」

田中「せっかくおしゃれな街に住んでいたのに」

松本「そうなんですよ、だからまったく駒沢を堪能していないんです。あとパンの耳をもらえるパン屋が駒沢公園通りにあって、そこでパンの耳の取り合いをしてました。同じような奴らと(笑)。何かしらパンを買うとパンの耳を持っていっていいよ、というふうになっていて、それをいかに早く取りに行くかの毎日でしたね」

田中「芸能人もたくさん住んでいる高級住宅地だから家賃も高めだし、おしゃれで高いお店も多いから、その頃の素生くんにはギャップがあるよね」

松本「彼女に言わせると、駒沢の頃の自分はおかしくなってたみたいです。メジャー・デビューもするんだか、しないんだかという宙ぶらりんな時期で、友達もいないからずっと独りで本を読んだり、レコードを聴いてたりしていたんですけど、やりたいことは明確にあって、でも実現しないというもやもやが続いていて。テレビを観てよく泣いてました。CMに出てきた猫を観ただけで涙が出てきたり。疲れていたんでしょうね、東京に。こんなはずじゃなかったと思いながら。でも、その悶々とした時期がなかったら、メジャー・デビュー・アルバムの『かよわきエナジー』は生まれなかっただろうと自分では認識しています。どん底を経験したことは自分にとって大きかったですけど、当時はきつさしかなかったですね」

田中「メジャー・デビューが決まってからの悩みもあっただろうけど、その手前のあやふやな状況の中で駒沢で住んでいたわけだ」

松本「そうなんですよ。ライヴは下北沢とかでコンスタントにやっていたんですけど、隣の芝生は青く見えるという例えがあるように、BUMP OF CHICKENとかすげえなと思ってました。自分たちがやっていることは間違っていないはずなのに結果が伴わないとか。でも、『天下一武道会』みたいなものなんですよね、バンドの業界も。地元じゃそこそこイケてて、外に出てみるともっとすごい奴らがいたというような。

田中「色々なところのエースで4番が集まってくるわけだからね」

松本「それでもバンドをやりたい、音楽が好きなんだという気持ちを持ち続けることができたのは、駒沢に住んでお金も友達もないという初めての経験があったからだと思うんですよ」

バンド結成からサニーデイ・サービスとの出会い、抱いていた東京への思い

田中「当時メンバーはまだ埼玉の桶川だったんだよね。みんな中学から一緒ってすごいよね」

松本「付き合いが古いやつは小学校からでした」

田中「バンドを組んだのは中学くらい?」

松本「中1ですね。ベースの石原(聡)はまだメンバーじゃなかったんですけど、ずっと取り巻きみたいに、バンドが何かやると必ずいるやつだったんですよ。最初のベースが辞めてから、お前じゃあやってみるか? って加入したんです。ドリフターズと一緒ですね。荒井注さんが辞めて、加藤茶さんの付き人だった志村けんさんが加入したみたいな。それで高1の頃にはもうGOING UNDER GROUNDって名乗ってやり始めていました」

田中「そのときはもうオリジナルの曲をやってたの?」

松本「半々くらいでしたね。日本語で曲を書き始めたのはサニーデイ・サービスの影響で、それまではWeezerとかのパワー・ポップやUSインディーばっかり聴いていたんですが、サニーデイが出てきて“これだったらできるかもしれない”と思ったんですよ」

田中「簡単だからね(笑)」

松本「いやいや(笑)。それから形になり始めて、自信を持てるようになりました。あの当時、東京に出る直前まではサニーデイとか、街の輩みたいな、ケンカとかはしないけど、性格の奥底は悪いんじゃないかみたいな、ふざけてるなこの人たちという雰囲気にすごく憧れてたんですよ。友だちとわいわいやってる感じも含めて。ぼくらもそれをやりたくて東京に出てきたんです」

田中「地元の桶川でもライヴをやってたの? 学祭とか」

松本「ライヴハウスもないから、自分たちでスタジオのいちばん大きい部屋や公民館を借りてライヴをやってました。初めてライヴをしたときの映像が残ってるんですよ。記録魔だったんで、ぼくら。ライヴのたびに誰かにビデオカメラ持ってこいって撮影してました。中2の頃ですかね。まだキスもしたことがなかったです」

田中「そりゃそうだ(笑)」

松本「そのときの映像をMVで使ってるんですよ。公民館でやったときの。田んぼのあぜ道をみんなで機材を乗せたリヤカーを押しながら公民館に向かいました。映画みたいですよね、今思うと」

田中「その頃は恋愛の歌も作ってたの?」

松本「いや、その頃はザ・ブルーハーツに夢中だったので、いかに(甲本)ヒロトに近づくかとか、もうコスプレっすよね。でも、高1のときにブルーハーツが解散しちゃって、それから洋楽とかを聴くようになって音楽の幅が広がっていったんです」

田中「なるほど。いくつになったんだっけ? 40?」

松本「今年43歳になります」

田中「そうか、まだ若いんだね」

松本「いやいや、若くないですって(笑)。ぼくが初めて田中さんにコンタクトを取ったのはスピッツがやっていた仙台のイベントで」

田中「“ロックロックこんにちは!”だ」

松本「そうです、そうです。サニーデイも出るんだと喜んで、ちょうど『LOVE ALBUM』の頃。そのときに楽屋に挨拶に行って」

田中「覚えてる、覚えてる。BUMP OF CHICKENとかが出てきた頃だ」

松本「やっと会えたという気持ちでいっぱいで。曽我部(恵一)さんに見せたことがあるんですけど、サニーデイの記事を切り抜いて貼ったスクラップブックを持ってるんですよ。曽我部さんは記事を見て、覚えてないわーって言ってましたけど(笑)。サニーデイをロールモデルにして、うちのバンドもあえてプロっぽくない感じで楽しくやりたいよねってやってきたんです。下北沢のライヴハウスに出演して、朝まで飲むんだというイメージで(笑)」

約30年間の音楽活動で変わらないこと、今のシーンの中で変わってきた気持ち

田中「その願いがかなって、約30年間にわたってバンドをやってきたわけだけど、メンバーふたりの脱退を経ながらも、これまでやってこれたのはどうしてだと思う?」

松本「楽しいのが第一なんですけど、まだやり足りないなという思いがあるんですよ。田中さんを前にして言うのもあれなんですが、ぼくらがこうなりたいと思ったサニーデイが今も現役バリバリでやっているとか、かっこいいアルバムを出しているとか、そういうことに背中を押されてやってますね。そうした中で、サニーデイをはじめ、影響を受けている先輩方に“あ、勝てた”という、自分のひらめきが最高潮に達する時があるんですね。もしかしたら追い越したんじゃねえか、みたいな。人生の中で何回かあったんですけど、その後に先輩方のライヴを観たり、音源を聴いたりして、追いかけて見えてきた背中が幻で、遥か彼方に進んでしまっているという繰り返しなんですよね。それが悔しかったり、嬉しかったりで、自分たちはまだ足りてない、早くそこに達したいな、という思いにさせられるんです。その気持ちが糧になって30年やってこれたんじゃないでしょうか」

田中「でも、変わってないんだと思うよ、10代の頃から。ヒロトの背中を追いかけている時から。自信を持てるようになっても、すぐに砕かれてしまうことの繰り返しで強くなっていっているわけだし。この駒沢に住んでいた頃、40代、50代のミュージシャンって、すべてを知ったような存在なわけじゃない。例えば細野(晴臣)さんとか。実際、そのときの先輩たちと同じ年齢になったわけだけど、浮ついたまんまなんだよね。でも、先輩たちも、その頃浮ついてたんだろうなって最近になってわかった」

松本「わかります、浮ついてますもん(笑)。駒沢に住んでいた時に中古レコード店で安く買ったレコードを聴きながら、すげーなこの人たちと思ってましたけど。自分はステレオの前で向かい合って聴くようなタイプで、音楽を聴くのは楽しむことでもあるから、そこはちゃんとしたいんですよね。部屋をきれいにして、心を落ち着かせてから椅子に座ってスピーカーと対峙するというように」

田中「わかる! 自分の好きな飲み物もちゃんと用意してね」

松本「でも、移動中にスマートフォンで音楽を聴くときは純正のイヤホンを使ってるんですよ。それには理由があって、純正のイヤホンを使っている人が多いじゃないですか、リスナーと同じ条件で音楽を聴くことが色々な発見につながるんですよね。この作品、こんなに低域が出てたのかとか。でも、今日初めてワイヤレスの『N10 Plus』を使ってみて驚かされました」

田中「めっちゃ便利でしょ?」

松本「ぼくは有線を信じていたんですよ。無線なんて、と思って。でもさっき『N10 Plus』で聴いたら、まったくそんなことがなくて。時の流れを一気に感じてしまいました(笑)」

田中「有線じゃないと音が悪いんじゃないかと思っちゃうよね、我々の世代は」

松本「レコーディングとか打ち合わせに向かう移動中って、無になって音楽が聴ける時間でもあるんですよね。誰にも邪魔されないから。変に低音が強調されていないところもいいし、これから移動中の友は『N10 Plus』になるんで大事に使わせてもらいます!」

田中「音楽を聴く楽しみが増えて良かったね。もう夏目前となってきましたが、今後の予定は?」

松本「今、レコーディングしているんですよ。夏の終りくらいにはニュー・アルバムをお届けしたいなと。7月にもライヴがあるし、今年の夏は楽しみですね。サニーデイはどうなんですか?」

田中「ちょうど1年延期になっていたツアーが終わったところで、久しぶりにツアーができてうれしかったね」

松本「田中さん、ツアー大好きですもんね。家に帰らなくても平気で、出ずっぱりでもOKというのがすごい。ぼくは曽我部さんタイプで、家に帰りたいタイプなので」

田中「でも、各地でライヴをやるのは好きでしょ?」

松本「あんなに嫌いだった車移動を今はしたいんですよ。みんなで車に乗って高知とかでライヴしたいなあ。今まで当たり前にやっていたことができなくなるとやっぱり恋しくなるんですね。職業柄、ライヴに足を運べなかった方も多かったはずですし、そうした方が安全、安心にライヴを楽しめるようになったら、車に乗って全国津々浦々行きたいと思うので、そのときはよろしくお願いします!」


■松本さんの思い出の場所

駒沢オリンピック公園
東京都世田谷区駒沢公園、目黒区東が丘二丁目・八雲五丁目

■試聴製品

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NUARLならではの高音質とアクティブノイズキャンセリングを搭載したハイエンドモデル。マルチポイント接続、低遅延ゲーミングモード、aptX Adaptive、Google Fast Pairなど多彩な機能性を誇る。
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